草雲雀           1989・8・28     私の花図鑑へ戻る




蝉時雨の季節も終わった。
日が落ちると寝室の回りは草雲雀の鳴く音で満たされている。
まるで草原の真ん中に寝ているようだ。
時にはコロコロこおろぎの声もまざっている。

あの高原のひろ野には
秋の澄んだ空の色を映したような桔梗や
末広がりの女郎花、切れ込みのあるピンクの撫子、
月の形のすすきなどで彩られて、
朝には白銀の玉が撒き散らされるだろう。

そしてまだ 夏の熱気を含んだ夕べの空には、
色とりどりの ちぎれたのや薄くてほそい雲が、
ういては広がり 流れては消えてゆく。

私の真夏の夜の夢も 幻のように次から次へと現れては消えてゆく。
また新たな季節がそこまでやってきた。

       夏の終わりを 告げているよな 草雲雀

   


詩1 あぶく
  詩2 雨粒    詩4 歌1  詩5 雪の歌 詩7 もし
 詩8 秋風 詩9 私は夢見る 詩10 内なるもの  詩11盲目
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