なかには板壁の穴に入ったり出たりしているものもいる。
その時の集合は虫の単なる習性かと思っていた。しかし今考えると冬ごしの場所を探していたのだ。
11月から4月となると5ケ月間も我がコテージにいた事になる。
長らくの逗留のお礼(天道虫はアブラムシを食べてくれるから良いか)も言わず出してくれといわんばかりである。ハエが入るけどやむを得ず窓を明けてだしてやる。カメムシは作物を食い荒らし嫌ではあるが生きているものをなかなか殺しにくい。窓の隙間から出ない天道虫は捕まえてだしてやるが、体が半円形をして平らな所へいるとまことに手でつかみにくい。掴むのは難儀である。しかしなんとか外へ出してやる。
するとおのおのが小さな羽根を動かし未知の新世界に飛びたっていく。まるで4月に新社会人が新世界に巣立つ想いである。
寒い冬を無事生き残った、巣立つ小さな虫たちの今年の健闘を祈るばかりであった。
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