花の里日記   2006.5.24 74
           水曜日   In my life

 さっき風呂に入った
浴槽はバブルの時代に作った家なのでジェットバスになっている
浴槽に湯を張り、入るとそこに彼がいた
正面の中央に泡の噴出穴が二つある
これが彼の目
口は湯の排出穴
鼻はその栓に繋がる鎖
彼はいつもそうするように湯で顔を揺らげながらこう言った
今夜も一人かい?
ぼくはいつものように 孤独だな!と答える
残念だね
時は過ぎていくよ
泡のスィツチを入れると彼はかき消えてしまった
そうだな
思い出す
この冬にもう1人の親友を失ってしまった
一緒にずっと長い旅をしたのに、
あの寒い戸外に置き去りにしてしまって、
彼の心臓を壊してしまった
外科手術も施さないで見殺しにしてしまった
もう分解されてしまっただろうな
それがいまも心残りだよ
あたらしいグレーの友は静かで、のっそりしている
いつも乗るとこう言う
カードが挿入されていません
もうカードは嫌だよ
この管理社会には飽き飽きした
私を自由にしてくれ!
鏡の中の自分を見ると髪が白くなってきている
HPは勝手に増殖を始めて私の時間を食い荒らす
これでは駄目だと思い、また今日も腕立てを始める
23回、疲れてまた23回する
なぜか23回
深夜、窓の外ではホトトギスが鳴いている
時は過ぎる。過ぎていくよ・・と鳴く
ホトトギスにはこう言う
でもまた新しい友に合えるよ
こうして短い睡眠につく
新しい朝には
待ち受けている管理社会と対面するのだ





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