一人蛍    2007/7/11          私の花図鑑へ戻る



私は一人蛍

無意味な長い長い時間を経て

あの暗くて冷たい水底から這い上がってきた

黒く毛に覆われた醜い体で夏の夜の夢を見続けていた

魚とも虫とも爬虫類ともつかない物を口にして

ピンクフロイドの歌が脳裏にこだまし突き刺さる

終わりの無い痛みで凝縮された希望の光が消費され

その途切れた光の軌跡が無限の飛行曲線をいつまでも描き出している

貴方の愛の温もりを求めて私は探し回る

暗い闇の中を

貴方は欺瞞と嘲笑の中で

いつのまにか硬い鎧を纏ってしまって

その輝く肢体をまるで隠している

光が尽きるまで

命が尽きるまで

私は空しく飛び続けていく




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