花の里日記 2004.10.19 №58
花曜日 またたび
少し安定した良い天気が続いたと思ったらまた雨。
また次の台風がこちらを伺っている。
今回の主題は木の実。
日記が木の実シリーズになりそうだ。
またたび(股旅)と聞くと昔は江戸時代の渡世人の旅話を連想した。
権力をカサにきる悪い代官(役人)やヤクザが出てきて、これを懲らしめる旅人の話が大半であった。
悪人を懲らしめると、なぜか旅人は風のようにその村を去る。
現代にも共通する人間の話ではある。
私が言っているのは木天蓼(もくてんりょう)の事でツル性の樹木である。
9月になるとこの実が熟し地面に落ちてくる。
それはドングリのような青い実と、もう一つは円形でデコボコした黄緑の実とがある。
実を眺め比べると別種のようであるけれども同じ木の実である。
どうして2種類の実がなるのかと言うとある種の昆虫がこの実に卵を産み付ける。
産み付けられた実は、これで虫こぶのようになるのである。
虫がどうなるか私にはわからないが、この虫こぶの実が薬酒の材料になるのである。
まず集めた虫こぶのある実を水で洗い1度乾燥させる。
乾いた所でこの実を1の分量とし、ホワイトリカー(焼酎)を2の分量としてガラスの容器に入れる。
砂糖は入れても入れなくても良い。
梅酒ではないので入れないほうが良いのかも知れない。
こうして6ヶ月くらい冷暗所に保存しておくと酒は飴色になり、またたび酒が出来あがる。
中の実や汚れを漉して捨て去り、飴色の透明な酒を瓶で保存して、チビチビと呑むのである。
こんな酒をグィと呑んでしまってはいけない。
自然の恵みを凝縮した薬酒である。
細く長くチビチビと呑み続けるのである。
こうすると薬効が身に充満して体が再活性化し、また新たに人生の旅に船出したくなるのである。
バイアグラではないのでこの点はご注意の事!
今年はもう実を採取する時期が過ぎたので興味がある人は来年の9月ごろ、山地の崖のある道沿いか、渓流のそばのツルのこの木の下を探して見るとこの実が見つかるかも知れない。
ドングリ状の実では薬効がないのでコブコブの実をぜひ。
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