花の里日記 99.10.16 土曜日(冬の予感)
台風の後遺症等で忙しさに取り紛らわされていたら、もう吉和には秋の終りにも似た風が吹いていた。
夏のなごりの花は昼夜の温度差で、花本来の色を人恋しそうに見せている。
日が当たると蝶たちが現れて夏を惜しむ様にその羽に太陽をひらひらとかざす。
あたり一面あれほど繁茂していた雑草も、種を撒き散らして枯れ草色になって倒れている。
ススキだけが白い穂を風になびかせて風の波紋を描いている。
空には出ては消える絹雲が流れている。
こんな時には大地の暖かい土の感触が心地よい。
日本海から山を越えてくる風は冬の使者だ。
もうすぐ近い朝にはあたり一面銀世界がやってくる。
放任している薮のような自宅の庭では、もう鶯がやって来てチャッ、チャと地鳴きを聞かせてくれた。
何匹かのヒヨドリもいる。
クモたちは夏を過ぎると成長して庭の木の間に、所かまわず大きな糸の巣を懸けている。紅葉も見せていない庭にも冬の使者が訪れている。
前のページ 次のページ 最初のページ古いページに飛びます 花図鑑ホーム
|