私の花図鑑    花の里日記  2007.6.14    №79

           木曜日   四十雀子育て顛末記

 この冬に運の良い事に野鳥の巣箱を手に入れた。
製作をしてみたいのであるが、いい道具も暇も花の里で持ち合わせていない。
山の別荘地の管理や花の里の花作り、仕事とリゾート。
したい事や義務仕事が満載でゆっくり製作など出来はしない。
そんな事なのでもっけの幸いであった。
早速春も近づいたまだ寒いある日、家の目の前に育った水木の若木に、その巣を木に負担にならないよう難儀して取り付けた。
蛇が枝から入らないよう、カラスやカケス、ふくろうに目につかないよう取り付けに注意した。
そこは家の窓から様子が眺められて丁度具合がよろしい。
自画自賛しながら外の様子を数日間うかがっていた。
野鳥の群れが回ってきた時、その中の何種の鳥は興味を示して眺めているのがいる。
しめしめ。入ってくれればいいが。
そのうち入口に止まって中を見ているものもあらわれた。
そうしてまた何週か過ぎたある日の事、シジュウカラが中にようやく入ってくれた。
私は嬉しくなって一生懸命様子を観察していた。
彼らは出たり入ったりしていたが、そのうち巣の材料を運びだした。
二羽が入れ替わり立ち代わりで色々なものをくわえてくる。
小枝がメインだが鶏の羽毛みたいなふんわりしたものも持ち込んでくる。
でも彼らは巣に入る時や出る時は必ず周りの様子を伺い注意して出入りする。
そうこうして又何週間か経過して、花の里に来て見ると巣箱の中で小さな声がしてくる。
そして親が虫をくちばしにくわえて巣箱に運んでいる。
良かった。ヒナが誕生したのだ。順調だ。幸運だ。
そうしてまた何週か餌運びが続いていた。
カラス等が近くに来ると私は飛び出してカラスを遠くに追いやったりしていた。
そうして、いつヒナが巣立つのかその日を期待していた。

        

 巣立ちを気にしながら仕事に追われて幾日かたち、ようやく花の里に行ってみた。
そうして期待の巣を見たら、もうもぬけの空。
親もヒナも見当たらない。
巣立ちを無事にしてくれた事を祈るしかなかった私であった。

 その後には空になった巣箱を取り外し水木を解放してやった。
ヒナの巣立ちの事も忘れかけたある日の朝であった。
庭の花を手入れしていた私の目の前に数羽の(7羽くらいであろうか)四十雀が素早い動きで目の前の水木の枝を経由して移動して飛び去って行った。
あまりの速さにびっくりしてただ眺めている私であった。
しかし群れが飛び去った後で私は気がついた。
彼らはこの私に顔見世してくれたのだと、はっきりと思ったのだった。

      




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