初夏の高原にさわやかな風が吹けば 野辺の白薔薇が香りにあふれて 一斉に開花してゆく 曲がりくねった起伏の緩やかな道をたどり 暖かな草の丘に座る 太陽の柔らかな光を浴び あたり一面の透けて見える白い花に囲まれる 虫たちの飛び交う羽音や 郭公の遠ざかる鳴き声にも眠気を誘われる パステル色の青空の中に 一筋の白い雲が中空にわいてくると 南の町をめざして静かに流れてゆく ゆっくりと時が流れて ゆっくりと愛の記憶が刻まれてゆく 北原白秋の野茨に鳩の詩