私の花図鑑     花の里日記   2001.12.9  bQ3
                 日曜日 ( 湧き水)


   2001年も終焉を迎えつつある。しかし世界では戦争やテロで騒がしい。差別や貧困が今でも横行している。相手の違いを認識して思いやる事が必要だ。宇宙から地球を見れば国境などない。青い水に守られた丸い一つの世界だ。

 今日も森の手入れで吉和に来ている。木々も落葉したので日が当たると森も意外と暖かい。真冬が近いのにまだ鳥たちが鳴いている。だいじょうだろうか?
ウインディヒルの小さい森の中でも色々な植物や動物、昆虫、菌類がリンクした小宇宙を持っている。大きく成長中の木、森の基礎を担った木でも次世代の木の為にもう消滅しつつある木、鳥に運ばれて芽生えた木、また葉や枯れた木を食べる昆虫や蝶や蛾も増えてきている。鳥も原野の鳥から森に住む鳥に変わり種類も増えてくる。また腐植物を食べる菌類は色々な面白いきのこを生やしてくれる。すべてがあれこれと私に森の少宇宙を垣間見させてくれるのだ。

 今は初冬だから地面は厚い落ち葉で覆われている。その下では長い時間に形成された厚い腐植土があり水分や菌類を守っている。雨はこの層を通りぬけて湧き出してくる。谷には小さな流れが出来、暑い夏でも飲むと冷たくて美味しい。最近気がついた事だが、意識的にこの小さな流れに枯れ枝等を沢山投げ込んでおいた。すると流れの水の量が均等になりだんだんと増えてきた。それと砂や落ち葉が流れ出さなくなってきた。2年前の大雨で荒れた谷がようやく落ち着いてきたのだ。もう自然のダムが出来てきたのだ。大雨や台風で枯れた枝や木が、小川でまた大雨の災害を守る役目を果たしている。小川の石をはぐると蟹や水生の昆虫などが生きている。ほんの小さな小川の水溜りなのに!

 現在九州は球磨川の上流の川辺川ダムが(経済だけの論理で)国土建設省の手で強行されようとしている。あれだけすばらくてきれいな自然のバランスを人間の手で壊そうとしている。いったん壊してしまうと回復するのに次世代が何百年もかけて修復しなくてはならない。有明海とおなじ大きな過ちである。瀬戸内海の埋め立ても同じ過ち。山口県の上関(長島)の原発も同じだ。水が汚れるものは手をつけないほうがいい。水は生物の命である。海などで生まれた水蒸気が空で雲となり森に雨となり降ってくる。森は厚い腐葉土で受け止め大地をくぐって栄養のある綺麗な水となり川へ流れ出す。藻や水生昆虫や微生物がこの中で成長し魚や貝に食べられて、最後に人間や水鳥がこの魚や貝を食べる。食物連鎖の始まりをこの綺麗な水が支えているのだ。

 ここの冷たくて美味しい湧き水を飲む度に、いつもこのような自然や森のありがたさを喉で味わっている。



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