38‐2.吉備津神社    雨月物語 吉備津の釜 神社全景

    
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   雨月物語 吉備津の釜の話 (要約なので本をお読み下さい。)

吉備津神社の神官の娘と農家(武士の出)の長男(身持ちの悪い男)の結納がまとまった。
神社では結婚の前に恒例の鳴釜の神事を執り行なった。
すると釜はほんの虫の音ほどの小さな音しかならない。
鳴ると吉事であり鳴らないのは凶事の印であった。
神官は祝福されていないと思ったが結婚を望む神官の妻の言葉にやむを得ず承諾してしまった。

結婚してしばらくは仲睦まじい生活が続いたが、男はもとの好色な気持ちが起きて遊女の家に入りびたりとなった。
父親は改心させるため男をつれもどし座敷牢に閉じ込めた。
しかし男は神官の娘にウソをついて改心すると言い、座敷牢を抜けだして神官の娘の金を持ち出し帰ってこなかった。
騙されてしまったことに気がついた神官の娘は病気となりやがて危篤となり死んでしまった。

一方男は遊女を連れて他の地で住まったが、やがてその遊女は物の怪につかれたようになって病気になり死んでしまった。
秋になり遊女を亡くした男は寂しさのあまり遊女の墓に参ると、すでに若い娘が横の新しい墓に参っている。
若い娘は主人を亡くした未亡人が悲しがっており、お参りをたのまれたと話している。
この事に興味をもった男は、その未亡人に心をひかれ娘に案内されてその家へと向かった。
わびしげな藁葺き小屋には未亡人が屏風の中に座っていた。
男は未亡人に話し掛けると振り返った未亡人は故郷に捨ててきた彼の妻であった。
痩せこけた妻は恨みがどんなものか教えてあげましょうといったので思わず男は気を失ってしまった。

目を覚ますとそこは暗い墓地の念仏堂で仏像が一つ置いてあった。
急いでそこから逃げ帰った男は家に戻り、戸を閉めて祈祷師に頼み護符を家中の入り口に貼ってもらった。
祈祷師から42日が過ぎると家を出られると言われた。
その夜になり12時をすぎると外で大きな声がして、家の周り中を動き回って入り口をうかがう音がした。
ええい憎らしいこんな護符を貼りおって!と叫ぶ声がした。
夜毎その声がはげしくなり42日の最後の夜となった。
やがてその夜も白々と明け始め、隣の家から彼の助けをした隣の男の声が聞こえてくる。
長い間ガマンをされました。もう大丈夫です。
貴方の元気なお顔が見たいので戸をあけてください。と話してくる。
彼は安心して戸をあけ始めた。
するとアア!という悲鳴がしてそれから物音ひとつ聞こえなくなった。
隣の男は斧を持ち外へ出て見るとまだ夜で細い月が中空で光っていた。
男の家に隣の男がおそるおそる入ってみるとおびただしい血が入り口に流れている。
しかし家は空で肉片ひとつ落ちていなかった。

後日釜が鳴らなかったのは吉兆の占いがまちがっていなかったと囁かれた。


この話は中国の古典からヒントを得て上田秋成(江戸時代)が書いた怪奇小説です。
牡丹灯篭もこの話と似ています。
和歌山の道成寺の鐘の話も彼は書いています。