私の花図鑑    花の里日記   2003.9.9 44
           火曜日  光と影


 はからずも花の里日記もナンバー44を指している。
この花図鑑を飾る写真の花たちはこわれ物、はかない物、生きているものの輝く時の一瞬である。明暗の明、光を表している。
 一方影の側では死、暗黒、無などを連想させる。都会の文明の範囲をでて自然な森に入るとこの暗黒の世界がにわかに現れてくる。夜の彼方からの叫び声、漆黒の闇、見えないものへの恐怖などである。妄想が拡大変化して見えないものを感じてしまう。

 上田秋成の雨月物語白峰の巻では、深夜の山中で西行の前に大魔王となった崇徳上皇の霊が現れるくだりがある。夜が明けるころには霊も静まり消え去ったと書かれる。
  
松山の 浪に流れて こし舟の やがてむなしく なりにけるかも  西行

 広島県の三次には稲生物語という怪談絵巻がある。若い侍平太郎は肝試しに、妖怪が出るといわれる山に雨の降る深夜出かける。それ以後夜毎自宅に異なる妖怪が現れるが、彼はことごとく追い返してしまう。最後に大魔王 山本五郎左衛門が出現する。この絵物語は色々出版されていて私は最近広島での出版本を手に入れた事がある。
 大宰府に流された菅原道真も雷神となって祟り、天災を起こしたとして北野天満宮に祭られている。
 現代の暗闇の部分としてはアフガン戦争、ニューヨークテロ、イラクの戦争がある。
これだけ文明が発達したのに人間の暗黒の部分がまたも出現している。ベトナム戦争の教訓はどこへ消え去ったのであろうか?大魔王出現!


日記前のページへ 日記次のページへ 日記の最初の目次ページへ   花図鑑ホーム