私の花図鑑    花の里日記  2008.1.19   85

           土曜日   人と自然

 今、花の里にいる。
昨夜来る時に街は晴れていたが、ここの気温は零下2度位で国道の木影部分は凍結しており、空からパラパラと雪が舞っていた。
起きると白い雪が地面を薄く一面蔽っていた。
見はるかす遠くの冠山は白く雪を冠り、山並みには三角形の鋭い杉の緑の樹幹までも見えて、頂上は時折灰色の低い雲がかかっている。
早朝なのでか風はまるで無くて鳥の声はほとんどといってしない。
窓の外の道には毛の無い裸の薄茶色の野犬が2匹、兄弟であろうか見え隠れして通り過ぎていった。
また薄の枯れた茂みからは背の高い白い鷺がゆっくりと姿を見せるが、また知らぬ間にその茂みに隠れて見えなくなっていたりする。
そのうち屋根に太陽が当たると冷え切った鉄板は暖められて露が庇からポタポタ落下してきたりする。
朝の鳥の囀りが待ち遠しいが、あと二月位かかるかも知れない等と思ったりする。

 昨日子供時代からの古い友人である庭師に合った。
彼は父親から受け継いだ仕事をずっと続けている。
数年前に山で偶然に出会ってそれ以来情報を交換していた。
彼から在る人の不動産の利用について相談を受けて、ついでに作庭した作品を見せてもらったのだ。
彼は石数個と白味の多い粒状の砂、落葉樹数本、常緑樹数本、わずかばかりの多年草と灯篭1基、つくばい、それと杉苔で山や渓谷の自然を切り取ったものをかいま見せてくれる。
山は樹木で、川や海はつくばい、野原や畑は杉苔と野草、砂は河原や砂浜を表現している。
つくばいは光を浴びて反射する水面を思わす。
そのつくばいや木には野鳥が訪れる。
今や町や都会には自然がほとんど消滅している。
都会で自然を楽しもうとすればこうした庭を作らないと人間のストレスを開放できないのだろう。
それには時代を反映しているのか、管理費のかかる松や大木は植えていない。
庭を見てそう思った。



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