私の花図鑑    花の里日記  2009.5.30   111

           土曜日    入梅前

 いよいよ山は緑深くなってきた。
あのパステル調の薄い緑や黄色の新緑の見事さも失せてもう夏模様。
道沿いにはマタタビの葉が白く模様をつけ、空木が白い花を沢山咲かせて
枝を垂らせている。
空には停滞した低い雲が空一面に覆って高い山の頂を見えなくしている。
そのせいか時折ぱらぱらと小さな雨粒を降らせたり僅かな風を吹かせたりする。
もう梅雨も近いなと思わせる空模様である。

 少し前までは小豆梨の白い花が高い木まで枝一杯賑やかに咲かせていたが
もう散ってきている。
三葉空木の白い花も今年は良かった。
うわみず桜は今年まるで駄目で、一応形だけでしょうもない花を咲かせた。
しかしえごの木は昨年とはうって変わり見事な開花を見せてくれている。
昨年の秋はヤマガラの餌になる、このえごの実が少なくて可哀相であったが
今年は豊作で安心だ。
おまけにヤマガラは花の里の巣箱で子育てまでしてくれた。
早くもその子供は巣立ってしまったが。
また白雲木の花もえごの木の花と同様で美しい。
名前どおり白い雲の波みたいに森を飾ってくれている。
また麻殻や大葉麻殻の木も白い房の花を見事に垂らせて、まるで白藤のように見える。
こう書くと不思議に白い花の話ばかりのような気もしてきた。
そうそう。今咲いている水木も白い花だ。
また藪手毬や肝木の白い花も今は花盛りでこれも美しい。
それに蔓紫陽花と岩がらみの白い花も咲いている。
考えてみると白と緑の模様だらけ。
わずかに赤い花と言えば谷空木と藪空木位。

 そろそろ山では野鳥も子育てを終えそうで、囀りも少なくなっている。
次は青い小紫陽花や山紫陽花の出番で蛍の飛び交うのも見られるだろう。
季節は次々と変わってくれる。

 今の山の作業は茂り過ぎて地面が暗くなってる場所を明るくなるよう
混んだ枝を切っている。
そうすると下の野草が光を浴びて元気をつけ、見事な花をつけてくれる。
そんな事で今の私は森の使用人か番人をしている。
でも苦労して育てた落葉樹のこの森が、段々充実しているので
野鳥の種類も大分増えてきた気がする。
ゲラの類も多く隼やフクロウまで囀る始末。
今では森の地面の落ち葉も厚くなり歩くとふわふわする。
谷水も途切れる事が無く少しずつ流れている。
そんな豊かな森はいつまでも私の夢であり天国である。
最近ベリンダ カーライルのヘヴン・イズ・ア・プレイス・オン・アースをカラオケで歌っている。
私には貴方が天国。この地球こそ天国で、もう何事も恐れないと言う歌。
私にはこの森も天国に思える。




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